職人が解説!エアコン冷媒ガス漏れの原因と修理費用の相場は?

どうもこんにちは。
エアコン職人さかなです。

エアコンが正常に効かなくなる原因としては大きく分けて3つの原因が考えられます。

1つ目は、基板やコンプレッサーなどの機械的な故障、2つ目は、ホコリや汚れで室内機のファンなどが詰まっているメンテナンス不足、そして3つ目に『ガス漏れ』ということが考えられます。

今回は、このガスの漏れの原因と、もしガスが漏れていた場合の対処法とその工事費用について解説していきます。

よろしくお願いします。

エアコンの冷媒ガス漏れの原因

※当ブログでは冷媒のことをわかりやすく「冷媒ガス」と表しています。

エアコンというのは〝冷媒ガス〟という特殊なフロンガスを使い、お部屋の空気を冷やしたり温めたりしているのですが、その詳しい仕組みについては今回は省略します。

で、空気を冷やしたり温めたりするには、その〝冷媒ガス〟というものが不可欠なのですが、そのガスはエアコン購入時には、室外機に封入されています。

購入時には室外機にガスが封入されていて、エアコンの取り付け工事の時に、室内機と室外機を『配管』と呼ばれる銅管でつなぎ、最後に室外機に封入されているガスを解放して工事は完了します。

通常であれば、そのままガスは漏れることもなく、劣化もしないので、〝冷媒ガス〟というのは半永久的に使うことができます。

本来であれば、冷媒ガスというのは漏れることもなく、劣化することもなく、室内機と室外機を循環し続けるのですが、何か問題があるとこの冷媒ガスが空気中に漏れ出してしまい、エアコンの効きが悪くなったり、ガスがゼロになると全く効かなくなったりします。

で、その原因ですが3つあります。

1つ目は、工事不備、
2つ目は、初期不良、
3つ目は、外的要因、です。

まず、1つ目の『工事不備』ですが、これが最もガス漏れの原因として多いパターンです。

エアコンガス漏れの原因その1『工事不備』

エアコンを取り付ける際、室内機と室外機を〝配管〟と呼ばれる管で繋ぎますが、この室内機と室外機を繋ぐ作業というのが、エアコン工事で一番気をつけるべきポイントです。

結構慣れた職人でも、1年に1000台取り付けて1台くらいガス漏れを起こしたりします。

僕もここ数年はガス漏れを起こしていませんが、不慣れな頃は1年に1回くらいガス漏れを起こしていました。

配管を繋ぐ作業というのはそれくらい難しい作業なのですが、どれだけ難しいと言っても、やはりそれは『工事不備』でしかないわけです。

わかりやすいガス漏れは、3日くらいで全部ガスが抜けてしまうので、工事してから毎日エアコンをつけていれば、だんだん効きが悪くなっていくのを実感できると思います。

この場合、すぐに工事会社もしくは購入した店舗に連絡をし、「エアコンが効かないので見に来てください」といえば、ガス漏れに気づいて、修理してくれるはずです。

工事不備であれば、普通のマトモな店舗やマトモな業者であれば、『工事保証』というものを付けているはずですから、一切料金はかかりません。

購入者からしてみればちょっと気分が悪いかもしれませんが、運が悪かったと思って諦めましょう。

そして、ここで一つ注意点がありまして、エアコンを取り付けてしばらく使っていなかった場合、もしくは、ガス漏れが僅かずつの漏れで、1年くらいかけてちょっとずつ漏れていく場合などです。

これらの場合の問題は〝発覚が遅れる〟ということです。

発覚が遅れると、ガス漏れが工事不備なのか、それとも他の原因なのかが分かりにくくなります。

マトモな店舗やマトモな工事業者であれば、工事保証を10年くらいつけていますから、1年経ってからガス漏れが発覚してもきちんと対応してくれるはずです。

しかし、ちょっと怪しい業者の場合、工事してから1年後に「エアコンが効かない!」と言っても、「それって、うちの工事が悪い証拠でもあんの?」っていう感じで開き直る可能性があります。

事実、そのガス漏れの原因が「工事不備」なのか、それとも、後で解説しますけど、「外的要因」なのか、判断がつかない場合があります。

そうなると工事業者としては、面倒なガス補充を〝タダでやりたくない〟というのが本音になってきます。

ですので、中には「それはうちの責任じゃありません」と言ってくる業者もいると思います。

なので、エアコンを取り付けてからしばらくは、毎日稼働させて、ガスが漏れていないかどうかチェックした方が良さそうです。

3日くらいでガスが全部漏れるわかりやすいパターンは、この方法ですぐに連絡をすることができます。

しかし、1年かけてゆっくりガスが漏れていくパターンは、プロでも判別が難しいので、なるべく大手の信頼できる場所で購入するようにして、10年保証などのしっかりとした保証を付けている工事業者にお願いするべきです。

プロでも判別が難しいと言いましたが、ガス漏れの判別法としては、何種類かの判別法があって、

「ガス漏れ検知器を使う」
「ガス漏れ検知スプレーを使う」
「ガスが漏れた形跡を発見する」
「ガス圧を計測する」のだいたい4パターンになります。

この4パターンを実践し、その証拠を工事業者に突きつけることができれば、決して言い逃れはできませんので、できるに越したことがありません。

しかし、どれも素人が判別可能な方法ではありませんので、結局は「10年工事保証」を付けている業者に取り付けをお願いし、ちょっとだけ余分にお金を払うことで安全を買うしかありません。

では続いて、ガス漏れ原因2つ目の『初期不良』です。

エアコンガス漏れの原因その2『初期不良』

初期不良の場合は簡単です。

初期不良というか、エアコンの製造過程でエアコン内部の配管を溶接しているのですが、その配管溶接にピンホールが空いている場合があるんです。

もしくは経年劣化でしばらく経ってから漏れるパターンもあります。

室内機か室外機の配管に小さな溶接穴が空いていて、そこからガスが漏れるというパターンです。

これは、

「ガス漏れ検知器を使う」
「ガス漏れ検知スプレーを使う」
「ガスが漏れた形跡を発見する」
「ガス圧を計測する」

の4パターンで判別することができます。

しかも、エアコン内部のガス漏れなので、メーカーのミスであることは明白ですので、メーカーが修理費用、それにかかる工事費用を全て負担してくれますが、ルームエアコンの冷媒系統保証はだいたい「5年」というメーカーが多いので、5年以上経っていると有償修理になる場合があります。

しかし、購入者さんは素人ですので、どこでガス漏れを起こしているのかわからないと思いますし、そもそもエアコンが効かない原因がガス漏れなのかどうかもわからないと思いますので、とりあえず、購入した店舗または工事業者に連絡をして、お任せするしかないというのが現実です。

エアコンガス漏れの原因その3『外的要因』

『外的要因』というのは、一番よくあるパターンとして、外構工事屋さんが室外機を動かした時にガスが漏れるパターンが有名です。笑

そもそも、『外的要因』でガスが漏れること自体そんなに多くはないのですが、その中でもよくあるのが、室外機を動かした時です。

例えば、家を新築した時など家の外構が終わっていないのにエアコンを先に買ってしまう人がいます。

その場合、僕は外構をコンクリートで仕上げるのか、砂利で仕上げるのか聞いて、そのレベルに合わせて室外機を設置します。

しかし、実際はそこまで親切に工事をする人は少ないので、多くの場合、外構屋さんがコンクリートなり砂利を敷く時に、エアコンの室外機を強引に動かしたりします。

その時に室外機の配管接続部分からガス漏れを起こすことが多いです。

その場合は、僕ら工事業者に連絡が来て、調べてみると室外機を動かした形跡があるので、ガス漏れが『外的要因』だとわかります。

そういう時は、僕らが外構屋さんに請求をしますので、やってきたエアコン業者に外構屋さんの連絡先を教えてあげてください。

あとは、「お客さんが勝手に動かした」パターンなど有名です。

室外機の裏を掃除した時とか、周りに生えている草を刈った時とか、そういう時に、パパが勝手に強引に動かして、室外機の配管接続部からガスが漏れることが多いです。

あと、動物が原因でガス漏れすることはまずありませんので、だいたい、外構屋さんかパパが原因です。

そのほかで考えられるとすれば、台風の時に強風で室外機が動いてしまい、ガスが漏れるとかそういう事も考えられると思います。

基本的には、室外機をいうのはちょっと動かしたくらいではガス漏れはしませんが、かなり強引に動かしたり接続部に負担のかかるような角度で動かしたりすると、ガス漏れを起こしやすくなりますので、そこは注意が必要です。

その他、エアコンの冷媒ガスが減る原因

あと、ガスが減る原因としては、引越しの時に移設工事で減るパターンなどです。

冷媒ガスというのは劣化しないので、基本的には永遠に不滅です。

なので、冷媒ガスが減るというのは、必ず、どこかから漏れているということになります。

エアコン配管は0.8mmの厚みの銅製の配管なので、その銅管が劣化して漏れるということは10年やそこらではほぼありません。

もし、あり得るとするなら、配管接続部の工事が下手で、その部分が10年経って劣化してガスが漏れるということはあるかもしれません。

しかし、工事が万全であれば、10年程度で銅管が劣化してガスが漏れるということはありません。

ですので、冷媒ガスが減る時というのは、先ほど申し上げた、初期不良か工事不備か外的要因でしかないのです。

つまり、基本的には最初にエアコンを取り付けた時に問題なければ、その後10年後もガスが漏れることはありません。

ですが、例えば引越しの時など、一度エアコンを取り外して、また取り付けるというようなことをやれば、もしかしたら、ガスが減ったり漏れたりすることはあるかもしれません。

もちろん、エアコンの設計として、何度でも移設は可能ですので、設計上は何も問題はないのですが、問題があるのは、やはり工事する人間ですね。

エアコンを取り外しする時には、ポンプダウンっていう作業をして、冷媒ガスを室外機に再び閉じ込めるのですが、この時に下手をするとガスが減ってしまったり、漏れたりすることが起こります。

室外機に冷媒ガスを閉じ込める時に、「ガス栓」みたいなバルブを閉めるのですが、その締め付けが甘かったり、ポンプダウン時間が短かったり、逆にポンプダウンが長すぎて強制冷房が強制終了したり・・・そういう工事不備が起こる可能性があります。

ということで、冷媒ガスが漏れる原因というのは今お伝えしたことが全てで、もうこれ以外に漏れる原因というのはありえないので、

  • 工事不備、
  • 初期不良、
  • 外的要因、

の3つだと思っていただいて問題ありません。

エアコンのガス漏れ修理費用と所要時間

では問題の、ガス漏れの費用を自分で負担しなければならない場合を解説していきます。

初期不良の場合は、間違いなくメーカーが保証してくれますから問題ないと思います。

5年以上経過して、機械の内部でガス漏れが起こった場合は有償になります。

工事不備の場合でも、工事不備だという証拠があれば大丈夫ですし、良心的な販売店、良心的なエアコン業者であれば問題ありません。

『ガス漏れ修理』を自己負担しなければならない場合というのは、工事不備でもなく、5年以内の初期不良でもない場合、つまり、『外的要因』である場合が多いです。

例えば、外構屋さんがガス漏れを起こしたとして、その場合、エアコン業者は外構屋さんの責任だと主張しますので、基本的には、販売店とエアコン業者はその費用を負担することはありません。

なので、基本的には外構屋さんが負担するべきなのですが、例えば、その外構屋さんが「自分らの責任ではない」と主張するのであれば、その場合は『購入者負担』ということになります。

また、「お客さん自身」が室外機を強引に動かし、冷媒ガスが漏れたということであれば、その場合も『購入者負担』ということになります。

つまり、工事不備でもなく5年以内の初期不良でもなければ、基本的には、販売店も施工業者もメーカーもガス補充費用を負担してはくれないってことですね。

で、気になるその金額なのですが、2万円〜3万円くらいが相場だと思ってもらえればいいかと思います。

R410とかR32とか冷媒ガスの種類もありますが、ガス漏れ箇所の特定、残ったガスの回収作業、ガス漏れ箇所の修理、真空引き、ガスの補充などなど、全部含めると2万円〜3万円くらいかかります。

所要時間としては、通常は1時間ほどで終わると思うのですが、エアコンの内部のピンホールからのガス漏れだと、ガス漏れ箇所の発見に時間がかかり、さらに、その場で修理ができないとなると、その日のうちに終わらない事もあります。

基本的に現場で全て解決しますが、初期不良の場合は、丸ごと新品と交換っていうメーカーも多いので、その場合はエアコンの入れ替え作業で、1時間半くらいだと思います。

そのあたりはエアコンの取り付け状況にもよりますので、なんとも言えませんが、時間がかかったとしても半日くらいで終わります。

エアコンの冷媒ガスっていうのは、その機種によって何グラム補充するのかということが決まっていますが、ガス漏れは何グラムが空気中に漏れ出したのかがわかりませんので、まだガスがエアコン内部に残っていたとしても、それを全部抜いて空にしてからガス補充を行います。

それから規定量のガスを量りで量りながら補充しますので、そのガスを回収するという作業が意外と時間がかかります。

ということで、なんか変な終わり方になりましたが以上です。ありがとうございました。笑

Aircon Mediaでは「Air-concierge」(エアコンシェルジュ)をコンセプトに、『10年間の快適な空間』をお約束しています。高品質な工事はもちろん、10年間の製品保証ときめ細やかなアフターサービスを心がけてますので、エアコン工事で失敗したくない方はぜひ、Aircon Mediaにお任せください。

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