どうもこんにちは。
エアコン職人さかなです。
自分がエアコン工事をしていて、お客さんによく聞かれる質問に「室外機のカバーってどうなの?」という質問があります。
個人的には、「あまり意味はないからつけなくていいと思いますよ」と答えるようにしているのですが、では、なぜ自分がそのように答えているのか?その根拠と理由をこれから説明していきたいと思います。
一般の方は、あまり室外機の役割とか、エアコンがどのようにして空気を冷やしたり温めたりしているのか知らないと思いますが、室外機カバーというのはエアコンの性能や寿命に直接的に影響してくるものでもありますので、しっかりとした知識を持って「室外機カバー」というものを扱っていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
※あくまで個人的な意見ですので、ご注意ください
室外機カバーの存在理由
では、まず、「室外機カバー」という商品がなぜ販売されているのか?ということを考えてみます。
Googleで「室外機カバー」と検索すると、ホームセンターで売ってるようなペラッペラの遮熱シートみたいな商品がヒットします。それと同時に、ちょっと洒落た木製のラティスのような室外機全体を覆うというか、隠すというか、そのような商品もヒットします。
主に、お客さんの言う室外機カバーといえば、この2種類のどちらかを指しているのだと思いますので、この2種類の室外機カバーについて解説していきますね。実際は、メーカー純正の防雪フードとか、純正の室外機屋根とかあるのですが、あまり使おうと思う方はいないと思いますので。
遮熱シートみたいな室外機カバーの存在理由
僕が思うに、あのペラッペラの遮熱シートみたいな室外機カバーの存在理由というのは、
- 節電効果
- 室外機の保護
この2点に集約されるのではないかと思います。
商品を製造販売している会社の謳い文句としては、「冷房効率が上がることにより節電効果が期待できますよ」「直射日光を避けることで、室外機の劣化や長寿命化が期待できますよ」というような商品価値を提供しているのだと思います。
では、果たして、その「節電効果」と「室外機の保護」と言う意味でどれほどの効果があるのか?個人的な意見を述べさせていただきたいと思います。
遮熱シートとやらの効果はいかほど?
まず、「節電効果」でいえば、ほとんど効果はありません。
実際に、電力計を測っていただければわかると思いますが、遮熱シートがあってもなくても使用電力は変わりません。
そもそも、室外機というのは屋外に設置するのが基本であり、屋外使用を前提とした設計になっているので、直射日光があたろうが雨晒しになろうが関係ないんですよね。
それに、室外機の一番冷やさないといけない場所というのは天板ではなくて室外機裏の熱交換器の部分です。熱交換器を冷やすために直接水をかけたりするシステムがあるくらいなので、水をかけるのはかなり効果があります。
しかし、遮熱シートの構造を見てもらえればわかると思いますが、室外機の天板をアルミシートみたいなもので覆ったところで、熱交換器にはなんの影響もないんです。
実際に、室外機に設置されている「サーミスタ」と言われる温度センサー部分に同じように温度センサーを設置してみると、遮熱シートを取り付けたことによる温度変化が全くないことがわかります。
これってもう、冷房効率という観点で見ると、全く意味ないですよね?
続いて、「室外機の保護」という観点で見てみると、こちらもやはり、意味がないと思います。
室外機というのは屋外使用が基本で、屋外設置を前提とした設計になっているので、そもそも室外機を保護しなければならないなら、それってもう商品として不完全だということですよね。でも、遮熱シートがなければ室外機が壊れてしまうということもないんです。
当然、遮熱シートがなくても室外機は問題なく動くし、ちゃんとその役割を果たしますので、「室外機の保護」という観点から見ても、やっぱり遮熱シートを付ける意味はないと思います。
むしろデメリットも多い
遮熱シートのデメリットといえば、まず熱交換器を塞いでしまうことです。
大体、紐で縛って取り付ける物が多い気がしますが、簡単な作りなので、すぐに紐が緩んで遮熱シート自体がズレて室外機の後ろに落ちてしまうことがあります。
そうなると、室外機の裏側は空気の取り込み口になっていて、そこで熱交換を行っていますから、うまく熱交換ができなくなって逆に冷房効率を落としてしまうことがあります。
次に、遮熱シートは劣化すると表面のフィルムみたいな透明のラップみたいなものが剥がれてきて、それがさらに細かくなって室外機周辺に散らばります。またそのゴミが熱交換器のアルミフィンのところに付着して、熱交換効率を下げる原因になります。
さらに、遮熱シートの中の断熱材みたいな白い発泡スチロールみたいなものも経年劣化で砕けて割れて最終的に白い粉のようになってそれもよく室外機周辺に散らばっているのを見ます。
節電効果もなく、室外機の保護効果もなく、さらにゴミを撒き散らす遮熱シートにお金を払うって、「この世で最も無駄なお金の使い方」と言ってもいいんじゃないですかね。
室外機全体を覆う室外機カバーの価値は?
室外機全体を覆う室外機カバーのことをなんと表現するのかわかりませんが、画像で見るとこんな感じのやつです。
ネットで検索すると、「DIYで作る方法」とか、「おしゃれな室外機カバー」とかで販売されているのを見ます。
僕が思うに、こちらの室外機カバーは遮熱シートとは違い、「室外機の外観を良くするためのもの」という認識ではないでしょうか?
室外機のデザインというのは、「おしゃれ」という観点ではあまり良くないデザインなのかもしれませんので、「なんとかしてこの無骨で無機質な機械を隠して家の外観を保ちたい」という人がいてもおかしくはないと思います。
しかし、実際に商品として販売されている「おしゃれ室外機カバー」をいくつか見てみましたが、「エアコンの機能性」ということを考えば、かなり改善が必要な商品も多く見受けられました。
具体的には、まず室外機の裏側の空気取り込み部分は一切空気の流れを邪魔しないこと、室外機前面の吹き出し部分を塞がないこと。です。
当たり前のことですが、室外機は室内の熱を大気と熱交換する役割があるので、その熱交換を妨げることはつまり、冷房効率、もしくは暖房効率を下げる要因になります。
さらに、せっかく熱交換をした空気の吹き出し口を塞ぐことで、その空気が跳ね返り、また室外機の裏側で吸い込んでしまうこともあります。
これをショートサーキットと言い、室外機の故障の原因になりますし、長期的に見ればエアコンの寿命を縮める要因にもなります。
「エアコンの性能が落ちたり、寿命が短くなってもいい!」と言うのであれば、それはその人の自由ですが、多くの場合はそんなことも知らずに無邪気に室外機カバーを使用している人がほとんどだと思います。
そして、「室外機カバー おしゃれ」で検索して出てくる商品の99%は「エアコンの性能が落ちたり、寿命が短くなる」商品で間違いありません。エアコンのことなんか何もわかっていない会社が勝手に作っているものなので、購入、使用される場合にはそれなりの覚悟を持って使用していただく必要があります。
エアコンの性能を十分に発揮し、寿命を伸ばす室外機カバーとは?
では、どういう環境が室外機にとって最も適しているのか?説明したいと思います。
まず、先ほどもお伝えした通り、
- 室外機の後ろと前面は塞がないこと
- 室外機全体を日陰にしてやること
- 風がうまく通り抜けること
これらの条件を満たしていればどんな方法でもいいのですが、一番簡単な方法は「すだれ」で室外機全体を日陰にしてやることです。
かといって、「すだれ」を目の前に設置すると吹き出しの風を塞いでしまうので、室外機の前面2メートルくらいの遠い位置に「すだれ」を立て、そのまま家や建物にもたれかけさせるくらいが一番いいです。
「すだれ」の中は横方向に風が通り抜けるようにして、室外機の周囲全体を日陰にしてやることで、エアコンの性能が最大限に発揮されます。
とにかく風の流れを邪魔しないこと、日陰にしてやることが条件です。
室外機カバーのまとめ
遮熱シートみたいな商品を製造販売している会社さんには申し訳ないですが、あれは全く意味がないどころが金の無駄なんでやめた方がいいと個人的には思います。
おしゃれな室外機カバーも販売しているほとんどのものはエアコンの性能を落とし、寿命を縮めますので使用する場合にはその覚悟を持って使用してください。
一番いい方法は、「すだれ」を使って室外機の周りに日陰を作ってやること、ダイキンさんは室外機の前に樹木を植えると良いと言っていましたが、太陽は東から登って西に沈むので、わざわざエアコンのために太陽がどの位置にいても日陰ができるくらい何本も樹木を植える人はいないと思うのであまり現実的ではないでしょう。
では以上です。
室外機カバー設置時の注意点でした。
ありがとうございました。
Aircon Mediaでは「Air-concierge」(エアコンシェルジュ)をコンセプトに、『10年間の快適な空間』をお約束しています。高品質な工事はもちろん、10年間の製品保証ときめ細やかなアフターサービスを心がけてますので、エアコン工事で失敗したくない方はぜひ、Aircon Mediaにお任せください。
コメント
やはりそうですよね・・・。一部YouTubeのチャンネルでも検証の動画があって効果があったとの結論がありますけど、もし本当に効果があれば電気代高騰のこのご時世、みんなカバーを取り付けていますよね。得体の知れないメーカーであればともかく、確かに室外機は高温や豪雨でも耐えられるように設計されているという説明にも納得できました。