ルームエアコンの寿命ってどのくらい?長寿の秘訣は?

どうもこんにちは。
エアコン職人さかなです。

僕が普段工事をしていて、お客さんによく聞かれる質問ランキングトップ5に入るかもしれません。

『エアコンの寿命ってどれくらいなの?』

という質問に対する答えを解説していきます。

エアコンの寿命は10年です

一般的に、エアコン業界では、業務用エアコンも家庭用エアコンも寿命は10年とされています。

それはなぜかと言うと、「メーカーが10年くらいで壊れるように設計して作っている」というところが本音です。

エアコンメーカーもビジネスでやっているわけですから、本気で作れば長寿命長持ちの30年くらい壊れないエアコンを作ることも可能だと思います。

しかし、あまりにも壊れないエアコンを作ってしまうと、後が続かないじゃないですか。笑

できれば頻繁に壊れて、頻繁に買い替えてもらった方が、メーカーとしては儲かるんですよね。

なので、最近では、全メーカーの共通認識というか、暗黙の了解というか、10年くらいで壊れるような設計で作ればいいんじゃないですかね?という風潮がエアコンメーカーにはあるように思います。

さらに、エアコンの寿命が10年だという根拠があって、それは、先ほどの話とも繋がってくるんですけど、10年くらいで壊れるエアコンを設計し、部品の製造も9年で止めてしまえば、もう修理すらできなくなるから、お客さんは買い替えするしかないんじゃね?

ということで、メーカーが部品の製造を9年でストップしてしまうんですね。

実際には、製品製造終了から9年で部品の生産を終了させるので、エアコンの修理可能期間というのは製品製造終了から9年ですから、「製品製造終了ギリギリに買った人で9年」ということになります。

なので、厳密に言えばエアコンの修理可能期間は9年〜10年と言った方が正しいかもしれません。

これがエアコンの寿命が10年であると言い切れる根拠になります。

消費者にできる選択は2つだけ

メーカーが10年で壊れるように設計し、部品の製造も9年でストップするのであれば、もうそれは仕方ないですよね。(^^;

消費者は身勝手なので「部品の製造期間をもっと長くしろ!」とか「もっと長持ちする製品を作れ!」とか、いろんな声もあるかと思います。

しかし、メーカーは民間企業で営利目的で会社を経営しているので、正直なところ、そんな声は『知ったことか!』というのが本音なのです。

嫌なら買うな。ということです。

もし仮に、数あるエアコンメーカーの中の一社が「30年保証のエアコン作りました!」とやらない限りは、全メーカー足並みを揃えることになります。

全メーカーで足並みを揃えるということは、結果的には「壊れたときの対応はどこで買っても同じ」ということになります。

だとすれば、消費者側でできる選択肢といえば、

・なるべく壊れにくいメーカーや機種を選ぶこと
・なるべく壊れにくい使い方をすること

この2点になるかと思います。

その1点目の「なるべく壊れにくいメーカーや機種を選ぶこと」

こちらは、「ダイキンのEシリーズ」か「三菱電機のGV.GEシリーズ」、この2つのどちらかを選べば問題ないかと思います。

(この2つの機種がなぜ壊れにくいか解説した記事がどこかにあるので、興味ある方はそちらも参考にしてみてください)

エアコンを長持ちさせる3つのポイント

「エアコンを長持ちさせる方法」言い換えれば、「なるべく壊れにくい使い方をすること」

なのですが、その説明にはさらに細かい説明が必要になり、大きく分けて次の3つのポイントがあります。

  • ・設置環境
  • ・使用環境
  • ・メンテナンス

順番に解説していきます。

エアコンを長持ちさせる「設置環境」

「設置環境」なので、そもそもエアコンを設置する段階の話になってしまうのですが、これはお客さんが知識をつけておくだけで、設置する工事屋さんにある程度注文を出すことができるので、是非とも知っておいてください。

まず、基本的なことですが「メーカーの施工要項に従うこと」です。

メーカーもエアコンの性能を十分に発揮してもらいたいため、設置するときの注意点を書いた「施工説明書」を本体に付属しています。

なので、基本的にはこの「施工説明書」に書かれている内容を守ること。これが1番の長持ちの秘訣だったりします。

しかし、その施工説明書には長々とたくさんのことが書いてありますので、今回は重要な部分だけ僕の方で要約させてもらいます。

『各メーカー共通の施工ポイント』

  • ・本体右側は壁や障害物から5cm以上離すこと
  • ・本体上側は天井から5〜10cm以上離すこと
  • ・室内機吹き出し口を塞がないこと
  • ・ドレン排水経路は必ず下り勾配にすること
  • ・ドレンホース末端は空中でカットすること
  • ・室外機左側は壁や障害物から5cm以上離すこと
  • ・室外機後ろ側は壁や障害物から5cm以上離すこと
  • ・室外機前側は壁や障害物から20cm以上離すこと
  • ・室外機右側は壁や障害物から20cm以上離すこと
  • ・配管接続はガスが漏れないようにすること
  •  

施工説明書にはこれらのことが書かれていまして、大まかにまとめるとだいたいこんな感じになります。

もちろん、メーカーや機種によって書いてあることが違ったりするので、中には例外もあったりするのですが、それでも、だいたいこれらのことを守っていれば、エアコンの性能を十分に発揮することができて、さらに「寿命を縮める」ということが少ないかと思います。

室内機に関しては、〝あまり狭い場所には設置しないでね〟ということが注意点ですね。

例えば、室内機の目の前にタンスなどがあると、吹き出し口を塞いでしまって、冷やした空気がタンスに当たって跳ね返り、それをまた室内機が吸い込んでしまって『ショートサーキット』という現状が起こります。

これは、室内機が吐き出した風をまた室内機が吸い込み、室内機の周りだけで冷気がグルグルして、「お部屋が全然冷えない」ということにつながりますし、もちろん、寿命にも影響してきます。

なので、狭い場所に室内機を設置すると、風の流れが悪くなったり、モーターに変な負荷がかかったりして、よくないことが起こりますよってことですね。

次に、室外機ですが、これも室内機と同じで〝あまり狭い場所には設置しないでね〟ということが注意点ですね。

しかし、こちらは室内機とは違い、故障に直結してくるので本当に注意です。

理論的には室内機と同じで、室外機は本体左側と後ろ側が吸い込みになってますので、まずはそこを塞がないでくださいってことなんですね。

冷房時には室内の熱を室外機から排出する「熱交換」を行っていますから、吸い込み口を塞いでしまうとまず熱交換ができなくなってしまうので、エアコンが冷えにくくなったり、室外機に熱がこもってしまったりします。

そして、熱交換した空気は室外機前面からファンによって排出されますから、その熱をしっかりと大気に放出してやらないといけないんですね。

この時に、前面がブロック塀で塞がれていたりすると、せっかく熱交換して吐き出した熱がブロック塀に当たって跳ね返り、その跳ね返った熱をまた室外機で吸い込み、ここでも「ショートサーキット」が起こります。

そうなると、室外機が排熱できなくて、冷媒圧力が高くなり「高圧カット」というエラーでエアコンが停止します。

他にも、高圧になるとコンプレッサーオイルが気化して、最終的には焼き付けを起こしてコンプレッサーロックしてしまいます。これは完全な故障になります。

なので、室外機はなるべく広いところに設置してね。っていうのと、最低でも熱がこもらないような場所に設置すること、最低でも前面の吹き出し口は塞がないようにすること。という部分がポイントになります。

どこまで塞がなければ良いのか?は、素人の方だと判断が難しいので、実際に施工される工事屋さんに相談されるといいと思います。

あとは、どうしても前面が狭い場所に設置しなければならない時は、「上吹き出しガイド」という部品も別売でありますので、そちらも検討されてもいいかもしれません。(お隣さんに熱風がいかないようにするという意味でも使えます)

あとは、ドレンの排水処理の問題もあって、冷房を使うと室内機から結露水が出てくるんですけど、その水が溜まらないようにしっかりと下り勾配を作ってやらないといけないんですね。

どこかで水がたまると、そこにホコリや汚れがたまり、最終的には排水の通り道を塞いでしまって室内機から水が溢れてきます。

水漏れ自体は割とよくあることで、それ自体はエアコンの性能にはあまり影響してこないのですが、問題は水が溜まっている状態が長く続くと、そこでカビが発生して室内機がカビだらけになることなんですね。

つまりは室内機の中がすごく汚れるってことなんですけど、そうなると、例えば、電子回路に異常が出たり、汚れの重さでモーターに変な負荷がかかったり、常に水に濡れているような状態になって熱交換器の配管劣化につながったりします。

長持ちするかしないかで言えば、カビだらけの室内機よりもクリーンな室内機の方が長持ちすると思います。これが排水問題です。

最後に配管からガス漏れですが、これはハッキリ言ってお客さんには完全に関係のないことなのかもしれませんが、ガス漏れもやはり故障のくくりになります。

こればかりは工事屋さんの腕にかかってますから、陰ながら応援していただいて、「さすがプロですね!」とでも言っておいてください。笑

エアコンを長持ちさせる「使用環境」

使用環境にもいろいろあるかと思いますが、僕がプロの職人として今までにみてきた事例でお伝えさせていただきます。

「長持ちさせる」と言ってますが、逆に言えば、「寿命を縮める」使用方法ですね、これを避けてくださいね。という方法をいくつか紹介させていただきます。

  • ・リビングエアコンで料理の油ギトギト
  • ・ペット用エアコン24時間使用
  • ・室外機周りが異常に暑い(熱い)
  • ・室外機周りの草など
  • ・海の近く
  • ・逆にたまに動かしてやる

リビングエアコンで料理の油ギトギト

まず、リビングエアコンでよくあるパターンですが、キッチンとの距離が近い場合に、料理の油を吸ってしまって、室内機のフィルターや熱交換器に油がギッシリついてしまうパターンです。

やはり、室内機に油などがつくと、そこからサビが発生したりと室内機にとってよくないことが起こりますので、料理中は弱風にするとか、レンジフードをしっかり回すとか、それなりに油がつきにくい配慮というのが必要になってくると思います。

そもそも、キッチンに近いところにエアコンを設置するのはあまりよくなくて、そういう場所にしかエアコンを取り付けできないというのはまず設計が悪いことが多いです。

空調のことをわかっていない設計士が設計するとそういうことになりますので、該当する方は、こればかりはもう仕方のないことだと思って諦めてください。

ペット用エアコン24時間使用

次に、エアコンを24時間フル稼働させている場合ですが、フル稼働もあまりよくありません。

24時間運転し続けていると、熱交換器が常に濡れている状態になりますし、カビも発生しやすくなりますし、室内機本体も錆びやすくなります。

今の室内機は「内部クリーンモード」という機能が大体備わってますから、1日のうちに1回は冷房運転を止めて「内部クリーン」をした方がいいです。それだけで全然違います。

内部クリーンモードというのは、冷房運転によって結露した室内機の中を乾燥させる運転です。

1日に一度、室内機の中を乾燥させてやることで室内機の中がリセットされるので、カビの発生を抑え腐食を抑えることができます。

室外機周りが異常に暑い(熱い)

よく都市部などで起こる現象があって、狭い場所に所狭しと室外機が並んでいて、その室外機たちが一斉に熱交換すると、その狭い空間は一気に熱気に包まれ、隣の室外機が排出した熱を隣の室外機が吸い込んでしまい、ショートサーキットではなくロングサーキットみたいな現象が起こることがあります。

他にも、工場内で蒸気配管の排気ダクトから排出される熱を吸ってしまう室外機とか、直射日光が当たる鉄板の上に設置された室外機とか、とにかく、室外機周辺が異常なほど熱くなる場所ではエアコンの寿命は短くなる傾向にあります。

今お伝えした環境は少し特殊な環境ですが、一般家庭でも直射日光が当たる場所ではやはり、室外機の熱交換が行われにくいという事実があります。

メーカーも基本的には室外機は直射日光が当たる前提で室外機を設計していますが、それでもなるべく室外機周辺の温度は低い方がいいのです。

なので、室外機周辺の温度が低くなるように、なんとか対策ができるのであれば、対策をした分だけエアコンの寿命が長くなる確率は高まります。

個人的には、室外機の上に被せるアルミシートみたいな物って意味がないと思っていて、できれば室外機の排熱を邪魔することなく、室外機全体を日陰にしてやることが望ましく、そうなると、大きめのすだれとか、大きめの屋根とか、そういうものがいいのではないかと思います。

ダイキンの対策として、室外機周りに木を植えるというのがありまして、夏は葉が生い茂って日陰を作り、冬は葉が枯れて日光が当たるので良いという対策なんですけど、そうそう都合よく室外機の前に木なんか植えられないし、あまり現実的ではないと思います。

なので、夏は室外機の風を遮らない程度に日陰を作ってやるのが一番だと思いますね。

室外機周りの草など要注意

室外機周りの草って、結構注意が必要で、まず第一に、室外機の背面にある熱交換器を草や落ち葉などが塞いでしまうこと、これが一番注意です。

その他にも、草が生い茂っているということは虫もたくさんいますから、室外機の中に虫が入り込んで、基盤の裏で巣を作ってショートしてるとかはたまに発生します。

あとは、ヤモリなども室外機が大好きでよく隠れているんですけど、ヤモリなんかも電気系統のところで死んでたりします。

これも仕方ないと言えば仕方ないのですが、もしかしたら草がなければ防げたことなのかもしれません。

熱交換器を塞がないこと、虫とヤモリには注意です。

海の近くはヤバい

海の近くは風に乗って潮が飛んできますから、その潮が室外機を一気に劣化させます。

以前、沖縄の与那国島に仕事で行っていたことがあるのですが、与那国島ではエアコンの寿命が3年と言われていて、大きな台風があると島全体に波がかかるのと同じくらいの潮をかぶるらしく、それですぐにエアコンが壊れてしまうとのことでした。

エアコンも精密機械なので、海水にはめっぽう弱く、室外機の底板が錆びて腐って崩れ落ちているエアコンを島内のいたる所で発見しました。

対策としては、「塩害仕様」のエアコンを買うか、もしくは塩害対策塗料を上から塗ってしまうか、もしくはその両方をやることで寿命が伸びます。

さらに、できれば室外機の風を遮らないように、犬小屋ならぬ室外機小屋みたいな感じで壁と屋根を作ってやるといいと思います。

とにかく海の近くはヤバいです。

逆にたまに動かしてやる

僕が故障したエアコンの入れ替え工事をしていると、お客さんがよく「あまり使っていないんだけどね」と言います。

「24時間フル稼働」よりも、「全く使わない」方が寿命は長持ちしますが、それでも「使わなさすぎ」というのも少し問題です。

詳しい理屈は諸説あり、よくわかりませんが、個人的には内部のモーターや部品が長期間稼働しないことで固着してしまうのではないかと考えています。

なので、仮に使う用事がなくても、例えば夏に1回、冬に1回とか、数時間くらい使ってやった方がいいと思います。

「数年使っていないくて久しぶりにつけようと思ったら壊れていた」という報告は、工事をしていてお客さんからよく言われますので、おそらく、そういうことが実際にあるのだと思います。

エアコンを長持ちさせる「メンテナンス」

最後にメンテナンスですが、これは日頃のメンテナンスになります。

例えば、室外機の近くにペットの犬小屋なんかがあると、犬の毛で室外機の裏の熱交換器が目詰まりしてしまい、室外機が壊れてしまうということがあります。

他にもホコリや落ち葉、砂、コールタール、国道沿いなどでは排気ガスのススが付いていることもあります。

室外機周辺の環境によって、吸い込む物は様々ですが、共通して言えることは、室外機の裏側にある熱交換器を塞がない。ということです。

室外機の裏側は吸い込み口になってますから、そこが目詰まりしていると「高圧カット」などのエラーに繋がります。

1年に一回くらいは家周りの室外機の裏側を点検されることをおすすめします。

次に、室内機のメンテナンスですが、室内機のメンテナンスはお客さんでできることといえばフィルターを掃除することくらいかと思います。

実際のところ、フィルターにホコリが詰まっていたとしても、冷房効率などは落ちるかもしれませんが、それが機械の故障につながったり、寿命に大きく影響してくるかといえば、個人的にはそんなに影響はないのではないかと思います。

今はお掃除機能付きのエアコンなどもありますから、そうなるとますますお客さんの方でやることはなくなってきて、強いていえば、お掃除ロボが回収してきたホコリを捨てる「ダストボックス」に溜まったホコリを捨てるくらいでしょうか?

あとは、「エアコン分解洗浄クリーニング」をプロの業者さんにお願いすることくらいでしょうか。

これはまたクリーニングについて詳しく解説した記事があるのでそちらを参考にしてもらいたいのですが、とにかく「ちゃんとした腕のあるエアコンクリーニング屋さん」を見つけて、よく使うところでは3年に1回、そんなに使わないところでは5年に1回くらいのペースで分解クリーニングしてやるといいと思います。

「ちゃんとした腕のあるエアコンクリーニング屋さん」というのがポイントで、ちゃんとした人がやればエアコンの寿命は伸びますが、ちゃんとしてない人がやるエアコンクリーニングは逆に寿命を縮めます。

なぜなら、一度エアコンを分解するので、分解した後の復旧手順を間違えたり、ビスで固定する場所を間違えたり、元に戻せなくなったりするからです。

きっちりメンテナンスしてやることでエアコンの寿命は伸びる確率は高まると思います。

ルームエアコンの寿命まとめ

以上、エアコンの寿命と長持ちさせる秘訣でした。

そうそう、言い忘れていましたが、エアコンの寿命は平均して13年らしいですよ。

個人的な感覚ではそれよりもうちょっと短いような気がしますが、13年持ってくれればラッキーだと思っていてください。

では、最後までお読みいただいてありがとうございました。

Aircon Mediaでは「Air-concierge」(エアコンシェルジュ)をコンセプトに、『10年間の快適な空間』をお約束しています。高品質な工事はもちろん、10年間の製品保証ときめ細やかなアフターサービスを心がけてますので、エアコン工事で失敗したくない方はぜひ、Aircon Mediaにお任せください。

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