どうもこんにちは。
エアコン職人さかなです。
最近の日本の建築では、2階のお部屋に室内機を設置して室外機は1階地面置きという設計がすごく増えてきました。
そういう工事のことを『2階→1階立ちおろし』とか、『立ちさげ』とか言ったりしますが、通常の標準工事だと配管長が4mまでのところが多いので、立ちおろしだと少し工事金額が高くなります。
今日は、その辺りの実際の工事内容とか、料金のことなどを解説していきますが、まず最初に注意点としてお伝えしておきたいのが、これからお伝えすることは、あくまで一般的な業界標準の話であり、その基準として、大手家電量販店の金額を参考にしているという点です。
なので、当然、依頼する工事屋さんによって、多少、内容や金額が変わることがあると思います。
こちらの記事でお伝えしていることが、実際には「必ずしもそうとは限らない」ということをご了承くださいませ。
よろしくお願いします。
立ちおろしの工事内容と配管延長料金
ルームエアコンは室内機と室外機がセットになっており、必ず、室内機と室外機を「配管」と呼ばれる管で繋がなければなりません。
詳しい仕組みはここでは省略しますが、冷房なら室内の熱を室外機から逃し、暖房であれば室内の冷気を室外機から逃がすようなイメージです。
なので、室内機と室外機は必ず「配管」で繋がなければならないのですが、室内機が2階にあり、室外機を1階に置く場合は「配管立ちおろし」という方法で室内機と室外機をつなぐことになります。
2階の壁に開けたエアコン配管穴から配管を一度屋外に出し、そこから配管を下におろして室外機を地面に置いて接続します。
この時、室内機と室外機を繋ぐ配管の長さは短くても6mくらいで、長い場合には7mとか8mくらいになる場合もあります。(家の高さや設計、室外機を置く場所によって異なります)
基本的に、エアコン業界の共通認識として、追加料金の発生しない標準工事には「配管の長さが4mまで」というところが多いです。
なので、4mを超えた分は「配管延長」という追加料金がかかるのが一般的ですが、例えば、上から下までの配管長が6mだったら2mの追加で、全長7mなら3mの追加というようなイメージです。
エアコン業界の一般的な料金設定では配管延長が1mあたり3300円(税込)なので、仮に配管長が7mだった場合、標準工事4m+配管延長3m=9900円ということになります。
さらに、配管延長とは別に、2階の外壁部分でハシゴ作業をすることになるので、「高所作業料金」という料金を設定している工事会社もあります。
高所作業料金は一般的に5000円〜7000円であることが多いですが、配管延長と合わせると15000円〜17000円くらい追加料金がかかってしまい、標準工事料金と合わせて、トータルで30000円〜32000円とか、それくらいの金額になってしまうことも少なくありません。
工事代金トータルで約3万円ともなると、エアコン本体と合わせてかなり大きな出費になってしまうことは間違いありませんし、化粧カバーも追加でつけたらさらに15000円くらいが追加になります。
『立ちおろしの一般的な料金設定』
- 標準取付工事 :15000円
- 高所作業費 :6600円
- 配管延長(3m):9900円
- 配管カバー取付 :11000円
合計 :42500円
と、こんな感じで、工事費だけで4万円を超えてきてしまいますね。^_^;
しかし、あくまでこれは一般的な料金設定の話なので、実際にはもうちょっと高くなったり安くなったりすると思いますので、具体的な金額に関しては、実際に施行される工事業者さんに確認されると良いと思います。
ちなみに、家電量販店でエアコン本体を購入すると、標準取付工事が本体代金に含まれていることが多いですが、その場合は標準取付工事費の15000円がマイナスされます。
しかし、そもそも家電量販店の本体代金は他で購入するより、1〜2万円高い値段になっていることが多いので、結局は同じことです。
そして、もちろんこれは工事代金なので、通常はこれに本体代金がプラスされますので、6畳用の安いエアコンでも平気でトータル10万円を超えてくると思います。
こればかりはもう、家の設計の問題ですから、室外機置き場がなければ1階に置くしかありませんので、どうしても2階1階おろしの場合、エアコン設置費用は通常の工事に比べて高くなってしまいます。
配管カバーを付けるかどうか?問題について。
2階1階おろしで大きな選択となるのが、配管カバーをつけるかどうか?という点です。
普通の配管カバーであれば、2mまでなら5000円程度で済むのですが、2階1階おろしだと、配管カバーの長さも5mとか6mの長さになり、金額も1万円を超えることも多いです。
配管カバーをつけないのであれば、テープ巻き仕上げという仕上げ方法になり、その場合は日当たりの良い場所だと、5〜6年でテープが劣化してしまい、結果的に配管断熱の劣化、冷房効率の低下などの不具合が発生する可能性があります。
あとは、見た目の問題で、やはり配管カバーをつけた方が全然見た目は美しいと思います。
- 配管劣化の防止
- 見た目
2階1階立ちおろしの場合には、お客さんにはこの2つのメリットと金額を天秤にかけていただいて、大きな決断をしなければなりません。
そして、思い切って配管カバーを取付る決断をされた方に、さらにお伝えしなければならないことがありますので、それをこちらも思い切ってお伝えさせていただきます。
配管カバーの色問題について。
配管カバーの色には何色かあり、お家の外壁の色に合わせて取付けるのが一般的です。
カバーの色の種類はメーカーによって異なりますが、
- アイボリー
- ホワイト
- ブラウン
- ブラック
- グレー
大体、この5色であれば、どの業者さんでも対応しているかと思います。
しかし、お家の外壁の色というのはそう簡単なものではなく、ブルーとか、グリーンとか、なんか何色って表現したら良いのかわかんないような色もあると思います。
そういう場合は、サッシの色とか、雨樋の色に合わせたり、なんとなくお客さんのセンスで合わせたりします。
あとは、アイボリーに近いホワイトとか、グレーに近いアイボリーとか、どっちにしたら良いのかよくわからない色もあります。
このような場合には、明るい色の外壁には明るめのカバー色を選び、暗めの色の外壁には暗めのカバー色を選ぶと良いと思います。
例えば、アイボリーに近いホワイトであれば、ホワイトを選択しておけば、カバーがきれいに見えると思います。
例えば、ブラウンに近いブラックであれば、ブラックを選択しておけば、全体としてのまとまりが出てくると思います。
この辺りも完全にカラーセンスがモノを言う世界ですが、最終的にはお客さんがご自身で決断してください。
基本的には選択肢が5色しかありませんので、〝何色を選んでもどうしても合わない〟ということもあるかと思います。
しかし、それはもう、建築段階でわかっていることですから、今、この記事で覚悟していただくしかないのかなと思います。どうしても納得いかない場合は、塗装屋さんに頼んでカバーだけ外壁の色と同じ色で塗っておいてもらうと良いかもしれません。
ツートンカラーと化粧胴差しについて
さらに頭を悩ませることになる問題がありまして、最近の住宅では、外壁が単色ということの方が少ないかと思います。
2階と1階で外壁の色を変えていたり、面ごとに色を変えていたり、色が色々あるかと思います。
なので、2階1階おろしでカバーをつけるときに2階はアイボリーで1階はブラウンとか、そのようなツートンカラーになる時もあります。
これは、事前に工事業者さんに指定色を伝えておかないとエアコン取付当日に慌てることになります。
〝「上」と「下」で色を変えて欲しい!〟ということを事前に伝えておいてください。
続いての問題です。
続いて、『化粧胴差し』ということを考えなければなりません。
特に最近の住宅に多く、トヨタホームなんかはほとんどの新築で化粧胴差しを使っています。
この『化粧胴差し』とはなんなのかというと、外壁部の1階と2階の間にある出っ張りのことです。
『化粧胴差』
(引用:https://www.yuruhiroblog.com/outer-wall-stain/)
この出っ張りはお家のデザインとしては良いのかもしれませんが、エアコンの配管カバーをつけるときにはものすごく邪魔になります。笑
配管カバーというのは平面にしか取付けることができないので、平面に出っ張りがあると、その部分だけは配管カバーがつけられないのです。
対策としては、その化粧胴差しの部分だけは「フリーコーナー」という部品を使うことで回避できます。
フリーコーナーとかジャバラと言ったりしますが、見栄えは悪いですが、そのフリーコーナーで化粧胴差し部分を乗り越え、平面の配管カバーが付けれるところはなるべく普通のカバーで収めるという方法です。
デメリットは日当たりの良い場所だと、フリーコーナー部分が紫外線劣化してボロボロになってしまうことです。
『ボロボロ フリーコーナー』
(引用:https://safetycap.exblog.jp/30239485/)
フリーコーナー作戦以外の方法としては、配管カバーの部品には「段差継手」という部品があり、この部品を使う作戦があります。
『段差継手』
こちらはフリーコーナーに比べて紫外線で劣化することなく、耐候性もあり、見た目も美しくておすすめなのですが、デメリットとしては段差が5cmまでしか使えないということと、なかなか段差継手を使って施工してくれる工事屋さんがいないことです。
段差継手はフリーコーナーと違い、形や高さが決まっていますから、例えば10cmの段差を乗り越えたい場合には、本体が5cmしかありませんから無理なんですよね。
その他では、ちょっとした段差を超えるのであれば、配管カバーをその段差の大きさに合わせて切り取る方法で乗り越えられるのですが、その「配管カバー切り取り作戦」もうまくやってくれる工事屋さんを探し出すのは難しいでしょう。
なので、結局のところ、ほとんどの工事屋さんはフリーコーナーで工事します。
この辺りが、胴差し問題としてあります。
もちろん、「フリーコーナー」でも「段差継手」でも「配管カバー切り取り作戦」も追加料金がかかりますので、具体的な金額については実際に施工してくれる工事屋さんに相談してみてください。
以上、2階1階立ちおろし工事の説明と注意点でした!
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