エアコンを3階から1階におろす時の料金と作業内容を職人が解説

どうもこんにちは。
エアコン職人さかなです。

今日はエアコンの『3階→1階おろし取付工事』について、料金とその内容を解説していきますが、まず最初に注意点としてお伝えしておきたいのが、これからお伝えすることは、あくまで一般的な業界標準の話であり、その基準として、大手家電量販店の金額を参考にしているという点です。

なので、当然、依頼する工事屋さんによって、多少、内容や金額が変わることがあると思います。

こちらの記事でお伝えしていることが、実際には「必ずしもそうとは限らない」ということをご了承くださいませ。

よろしくお願いします。

3階→1階おろし取付工事とは?

エアコンの室内機を3階のお部屋に取り付け、室外機を1階の地面置きにすることを「3階→1階おろし」とか「3階立ち下ろし」と言います。

最近の建売では3階建ての住宅も増えてきて、1階が車庫になっていて、2階リビング、3階寝室とか、そういう設計の家が増えてきたように思います。

で、そういう設計なのはいいのですが、残念ながら、設計の段階ではエアコンの取付工事のことまで考慮されていないので、ハシゴが立てられなかったり、高所作業車も入れなかったりと、なかなかエアコン屋泣かせだったりします。笑

なので、3階→1階おろしのエアコン工事ができないと断られるお客さんも多いです。

ということで、次章からは3階→1階おろしが簡単にできるパターンとか、少し難しいパターンとか、かなり難しいパターンとか、それに対する色んな方法と追加料金について解説していきます。

3階→1階おろしが普通にできるパターン

エアコンというのは、室内機と室外機を「配管」と言われるもので繋がないといけないので、3階のお部屋にエアコンをつけるということは、まず、3階の配管穴のところまで手が届かないといけません。

なぜなら、例えば、室内側からエアコンの穴を開けるとしましょう。それから、配管を室内機に繋いで、そこからズルズルと配管穴から配管を下にたらしながら室内機を設置することで、一応、エアコンとして動く状態にはできます。

しかし、外壁には穴が空いたままになっているわけですから、雨が降ったら雨水が壁の中に侵入してきますし、虫も進入してきて、小さい鳥なんかも巣を作ったりします。

なので、穴を「パテ」と言われるもので塞ぐために、必ず、外壁の配管穴のところまで手が届かないといけません。これがまず、大前提です。

で、これが簡単にできるパターンと言えば、まず、『簡単にハシゴがかけられること』です。

すぐ近くに窓があれば、窓から手を伸ばしてパテができるのですが、それでも配管はブラブラしてますし、とてもまともな取付方法とは言えません。

なので、途中の配管が風で揺れないように固定したり、屋外化粧カバーなんかを付けるために、常識的にはハシゴを使う必要があるのですが、このハシゴも普通のハシゴではなく、3階まで届くちょっと長めのハシゴを使います。

ハシゴには安全に立てかけられる角度というものがあり、それが『75°』であり、最低でも75°の角度が必要になります。

つまり、建物が垂直だとして、3階のエアコン配管穴の高さが9mだった場合、ハシゴを立てかける位置は建物からおよそ2.5m離れた場所になります。

なので、普通にハシゴを立てかけると言っても、最低でも建物から2.5mのスペースがないとハシゴはかけられません。

逆に言えば、建物から2.5mのスペースさえあれば、問題なくハシゴ作業で3階→1階おろしが可能になります。

この時の料金は、大手量販店だとこのようになります。

  • 標準取付料金(配管4mまで)     15000円
  • 配管延長料金(5m×3500円)      17500円
  • カバー取付料金(カバー2mまで)   5500円
  • カバー延長料金(6m×2200円)     13200円
  • 特別高所作業料(ハシゴ料金)       6600円

合計で57800円(目安)となります。

3階→1階おろしがちょっと難しいパターン

ちょっと難しいパターンというのは、ハシゴが立たない場合です。

つまり、ハシゴをたてるスペースの2.5mを確保できない場合などです。

この場合、例えば高所作業車を持ってくるとか、足場を立てるとか、そういう話が出てくると思うんですけど、そうなると高所作業車で4〜5万円の追加、足場になると10万円〜15万円の追加という感じになります。

僕みたいなエアコンで飯食ってる職人が、「たかがエアコン」と言ってはなんですが、正直な話ですよ、たかがエアコン1台取り付けるのに、10万円を超えてくると、ちょっと流石に厳しいと思いますので、ここではなんとか10万円以内でおさまる話をしようと思います。

で、ハシゴが立たない場合ですが、実は条件によっては3階用のハシゴを使わずにできる場合があります。

僕がよくやる方法として、3階の窓のすぐ近くにエアコンを設置します。

そして、3階の窓から身を乗り出してカバーを取付け、そして、2階以降は下からハシゴをかけて作業します。

3階用のハシゴは立たないけれども、2階用のハシゴなら1.5mほどのスペースがあれば立ちますので、3階に窓がある、そして、地面には1.5mほどのハシゴスペースがある。

このような特定条件で3階→1階おろしができますし、カバーもしっかり付けることができます。

もしくは、3階の窓の真下の位置に、同じような2階の窓があればもうハシゴすら必要ありません。

3階から乗り出しでカバーを取付、2階部分は2階の窓から乗り出しでカバーを取付、1階は地面から脚立をたててカバーを収めることができます。

この時の料金は、大手量販店だとこのようになります。

  • 標準取付料金(配管4mまで)     15000円
  • 配管延長料金(5m×3500円)      17500円
  • カバー取付料金(カバー2mまで)   5500円
  • カバー延長料金(6m×2200円)     13200円
  • 特別高所作業料              13200円

合計で64400円(目安)となります。

普通のハシゴ作業よりも、少しだけ危険度が増す分高所作業料が高くなる形ですね。

ちなみに、窓乗り出しが危ないと思われるかもしれませんが、実際は、窓に設置できる安全帯のようなものがありますので、万が一、落下しても地面まで落下することはありません。(ぶら下がりはしますけどね(^^;)

もしもの場合に備えて、室内から支持を取り、フルハーネス安全帯を着用することもあります。

3階→1階おろしが超難しいパターン

3階おろしで一番お客さんが頭を悩ませるのが、この超難しいパターンだと思います。

超難しいパターンですと、まず、窓が一切ない状態で、当然ハシゴも立たなくて、当然高所作業車も入れなくて、最悪なケースですと、狭すぎて足場すら立てられない場合もあります。

そして、なぜ頭を悩ませるのかというと〝施工できる職人があまりにも少ない!〟これに尽きると思います。

お客さんは家電量販店をたらい回しにされ、しかし、どの業者にも断られ、「足場を組むならできますよ」「高所作業車ならできますよ」「3階の足元に穴を開ければできますよ」「窓用エアコンならできますよ」様々な理由で断られるかと思います。

職人である僕の体感的に、この超難しいパターンを攻略できる職人は、おそらく100人に1人くらいなんじゃないかと思います。

もしかしたら500人に1人かもしれません。それくらい難しい工事なのですが、方法としては、ロープアクセスでぶら下がってスパイダーマン工事をするか、もしくはハシゴを垂直に固定して、そのハシゴを上り下りして工事するか、そのどちらかになります。

どちらでも化粧カバーを付けることはできますし、作業後にアンカーが残ったり、ビス穴が残ったりすることもありません。全てロープを使って作業します。

有効スペースは50cmあれば工事できますし、自分は30cmのスペースでもやったことがあります。

多分、それ以下のスペースでもできなくはないと思いますが、そうなると今度は室外機が置けなくなりますから、最低でも室外機の幅分(35cm)はスペースが必要だと思ってください。

この時の料金は、大手量販店だと断られると思いますが、もし、僕が大手量販店で仕事してたらこのような料金で見積もりを出します。

  • ・標準取付料金     15000円
  • ・配管延長料金     17500円
  • ・カバー取付+延長料金 18700円
  • ・特別高所作業料    77000円
  • ・断熱ドレンホース   11000円

合計で139200円(目安)となります。

ちなみに「断熱ドレンホース」というのは、通常のドレンホースとは違い、耐久性のあるドレンホースで、30年くらい使用することができます。

というのも、エアコンの寿命は10年なので、10年後にまた同じ工事をしてたら大変じゃないですか。

なので、僕ならまた10年後に機械を入れ替える時にも簡単にできるように、機械だけを入れ替えて、配管とかカバーはそのまま使えるように施工します。その時に必要になるのが、「断熱ドレンホース」による施工です。

これをやっておかないと、また10年後に高い工事代がかかりますので注意です。

逆にこうしておけば、次の入れ替えも楽ですし、その次の入れ替えも楽ですし、どこの誰が来てもハシゴを使用することなく、高所作業も必要なく、入替作業をすることができます。

エアコン工事はやっておしまいではなく、ちゃんと後のことまで考えておかなくてはなりません。

で、この断熱ドレンホースが1m1000円なので、10m使用で11000円が追加になります。

これで合計金額は139200円、普通に足場を組むとなると、足場だけで10万円以上かかりますから、足場+エアコン工事費で最低でも15万円くらいかかっちゃうんですよね。

なので、お客さんとしてはなるべく安く済ませたいと思いますし、足場とか高所作業車だと大きなトラックとかがきて、家の前の道路を塞ぎますし、音も出るので近隣の方への配慮も必要になります。

できれば、ハシゴ方式とか、スパイダーマンにお願いしたいはずなのですが、しかし、こればかりは本当に施工する工事屋さん次第というか、誰もできないことをやるわけですし、ハッキリ言って命かけて作業してますから、そんなに安い金額ではないとお伝えしておきます。

まずは「要見積もり」で、見積もりの段階で断る業者さんが100人中99人、もし、できるという人が見つかったとしても、その人しか工事できないわけですから、その人の「言い値」で工事料金は決まります。

僕なら高所作業費が77000円ですが、その人も同じように10万円以内でやってくれるかどうかはわかりませんし、あくまで最低料金ですから、カバーの曲がり部品など必要になれば、さらにここからその追加料金が発生しますのでご注意ください

3階おろしのまとめ

最近は3階建ての建売も増えてきて、このような悩みを抱えている人は少なくありません。

でも、それってお客さんが悪いんじゃなくて、そういう設計をした工務店が悪いんです。どうしても、設計の段階では空調とかエアコンは後回しにされます。

敷地面積から間取りを決めて、階段とかクローゼットとかお風呂とか、そういうことを先に決めていって、そこにエアコンのことを考える余裕はありません。

なので、家が完成してから、「じゃあ、エアコンはどうしましょうかね」というのが実情です。

僕もこういう仕事をしてますから、よく新築物件で工務店の人と話をすることがあります。

お客さんの手前、「なんでこんな設計なんですか?エアコンどうやってつけるんですか?」とは言えませんが、内心はそう思ってます。

一応、工務店側もエアコンのコンセントを設置してますから、エアコンのことを完全に忘れているわけではないんです。

でも、ここにコンセントがあるってことは、ここにエアコンをつけるってことだよね?だとしたらおかしくない?ということが多々あります。

これはお客さんが悪いのではなく、工務店が悪いんです。

でも、最終的な責任は、その工務店を選びその家を買ったお客さんの責任なんです。

じゃあ、「こんな通常では不可能なエアコン設計なんだから、エアコン工事費を工務店側で負担してくださいよ!」と言ったところで、工務店は何もしてくれません。

僕はそういうやりとりが、何度も繰り返されてきたのを目の前で見てきています。お客さんが悪いわけではない、でもお客さんに責任がある。

このような事情を僕も理解していますので、なるべく安くできる方法があるなら提案したいし、なるべくストレスのない方法で問題を解決してあげたいと思います。

実際には、地理的な理由から、僕が直接伺うことはできないかもしれませんが、でも100人に1人はきっとやってくれますし、諦めて足場を組むこともないと思います。こちらの記事が何か参考になれば幸いです。

以上です。
最後までお読みいただいてありがとうございました。

Aircon Mediaでは「Air-concierge」(エアコンシェルジュ)をコンセプトに、『10年間の快適な空間』をお約束しています。高品質な工事はもちろん、10年間の製品保証ときめ細やかなアフターサービスを心がけてますので、エアコン工事で失敗したくない方はぜひ、Aircon Mediaにお任せください。

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