どうもこんにちは。
エアコン職人さかなです。
今日はエアコンの『コンクリート穴あけ』について、料金とその内容を解説していきますが、まず最初に注意点としてお伝えしておきたいのが、これからお伝えすることは、あくまで一般的な業界標準の話であり、その基準として、大手家電量販店の金額を参考にしているという点です。
なので、当然、依頼する工事屋さんによって、多少、内容や金額が変わることがあると思います。
こちらの記事でお伝えしていることが、実際には「必ずしもそうとは限らない」ということをご了承くださいませ。
よろしくお願いします。
エアコンのコンクリート穴あけは大変
最近の建物であれば、鉄筋コンクリートなどの集合住宅は必ずと言っていいほどエアコン配管用の穴が開いています。
しかし、ひと昔の前の団地やマンションでは、部屋によってはエアコン用配管穴が開いていない場合があります。そのような環境でもエアコンを設置したいという時に、選択肢は3つあります。
- 窓用エアコンを設置する、
- コンクリートに穴を開けて電気工事をする
- 窓パネルをつけて電気工事をする
この3つの方法があります。
窓用エアコンであれば、腰壁くらいの窓さえあれば設置できますので、よくエアコン用配管穴のない昔の団地などでは、窓用エアコンを設置して暑さを凌いでいる方が多いです。
しかし、窓用エアコンは少しうるさいし、冷房専用しかないし、防犯上の問題もあるし、やっぱり普通のルームエアコンを取付けたいという意見もあります。
そのような場合には、コンクリートにエアコン用の配管穴を開け、さらに、エアコン専用電源がないので、エアコン専用回路を増設するという電気工事をして普通のルームエアコンを取り付ける方法があります。
エアコン用の穴がないということは、そもそもエアコンを設置する設計ではないということで、多くの場合は、穴が開いていないならエアコン専用回路もありません。
今は、各メーカーが「エアコンには専用回路が必須」と言っていて、それに準じて大手量販店でも「エアコン専用回路がない部屋にはエアコンの取付は不可」と言っていますので、穴あけと同時に電気工事も必要だということです。
集合住宅のコンクリートに穴を開ける場合、まずは管理会社、もしくはオーナーの許可が必要になります。
そして、建物の構造の一部になっている場所、つまり、建物の強度を保つのに必要な場所には穴を開けられないので、「どこに穴を開けていいのか?」その場所の選定に、設計士や建築士の方に指示を仰ぐ必要があります。この手順は面倒なように思えるかもしれませんが、鉄筋コンクリートの建物であれば、絶対に必要な手順です。
僕の聞いた話では、建物の耐震強度を保つ場所に穴を開けてしまって、マンション一棟を丸ごと建て替える羽目になった話を聞いたことがありますし、建築中のミスで、いくつも穴を開け直したことによる耐震強度不足で、建築基準を満たせず、新築なのに解体されてしまったマンションなどあります。なので、超えなくてはならないハードルがいくつかあるんですね。
まず管理会社の許可が簡単に下りないのと、穴あけ場所の選定が難しいので、建築時の設計図を手に入れること、その設計図を手に、構造屋さんと言われる建物の強度計算に強い人に穴あけ場所を選定してもらうことなどなど。
ただ、構造屋さんも責任が発生しますので、万が一、計算ミスで間違った場所に穴を開けてしまうと、それでもう建物の強度不足で立て直しになったりしますから、そうそう簡単に引き受けてくれる人なんていないでしょう。
普通はそんなリスクを負いたくないし、それくらいのリスクを負うのであればそれなりの報酬が必要だということです。つまり、数万円なんかでは絶対にやってくれません。
まず、コンクリートの穴あけはそれほど大変だということを知っておいてください。
穴あけ許可が出てからの手順
僕は実際に、マンションで何度も穴あけ(コア抜き)をしています。
管理会社からの依頼で「ここに開けてくれ」と言われてマンションの外壁に穴を開けています。
では仮に、コンクリートの穴あけの許可が出て穴を開ける場所も選定したとしましょう。
そこからが僕らの本当のお仕事なんですけど、コンクリートのコア抜きには2種類の方法があります。
- 乾式コア
- 湿式コア
この2つの方法があるのですが、文字通り、水を使うか使わないかの違いです。
乾式の方は水を使わないので出るのは音と粉のみで、割と簡素な電動工具でも開けることができます。
しかし、やたらと時間がかかるのと、どうしても綺麗に開けることができません。
もう一つの湿式コア抜きですが、こちらは常に水が出るので、廊下とかベランダが水浸しになります。湿式の方が音は小さいですし、粉も出ませんし、早いし、穴も綺麗に開きます。
僕はいつも湿式で開けていますが、それは担当する工事屋さん次第みたいなところがあります。
ちなみに言うと、乾式でやると言う人は逆に言えば乾式しかできない方ですので、湿式でやってくれる人を探した方がいいと思います。
湿式の方が道具が高いですし、難しいコア抜きになるのですが、慣れてしまえば乾式でやるメリットってほとんどなくなるので、湿式でやる人の方が間違いなく慣れていて詳しいです。両方できるのに「乾式でやる」と言う人はまずいないので。
一応、許可が出てからはそんな方法で穴を開けます。
コンクリート穴あけの料金
コンクリート穴あけは開ける長さによって金額が変わります。
- 壁厚0〜15cmまで12000円、
- 壁厚15〜20cmまで16000円、
- 壁厚20cm〜要見積もり
という金額設定であることが多いです。
しかし、この金額はあくまでコア抜き単体での料金なので、実際には事前に超音波検査やレントゲン検査が必要で、その検査費に数万円かかると思ってください。
そして、コンクリート穴あけは自己責任だということも知っておいてください。
本来、コンクリートというのは、建築時にスリーブという筒を入れておくべきなんです。
後から穴を開けるのはすごく大変ですし、構造とか耐震強度も構造屋さんにしかわかりませんから、そうそう簡単に勝手に開けていいものではないんです。
なので、基本的には建築時にスリーブを入れていないのであれば、もうそれはそれとして諦めるのが普通なんです。
それを、どうしてもエアコンをつけたいからと言って、無理に頼んでも、なかなか簡単に開けてくれる工事屋さんはいませんし、やはり、先ほどもお伝えした通り、リスクが大きすぎます。
工事屋さんとしても、たった数万円の為にマンション建て替え費用20億円払えと言われたくないんですね。
だから、多くの工事屋さんはコンクリート穴あけを断ることが多いです。
基本的には断る方向なんですが、全部お客さんの自己責任で、「何があっても一切文句は言わない!」という契約の元であれば、工事してもいいかなという感じなんです。
僕も普段から穴あけをしていますが、もうすでに換気扇の穴が開いている場所の上とか、おそらく構造体ではないであろう場所に穴を開けていますし、もし、万が一、何かあったときでも、一切、こっちの責任にしないでくれと約束してから開けています。
構造屋さんに依頼して構造を調べてもらい、レントゲン検査で何もないことを確認してからコア抜きがベストですが、予算的にもなかなかそういうわけにはいきませんから、僕の知り合いの不動産会社では穴あけ箇所だけ指定してもらって、あとは僕の独断でコア抜きさせてもらってます。
コンクリートに穴を開けたあと
穴さえ開いてしまえば、あとはエアコンを設置するだけ!と思いがちですが、先に電気工事をする必要があります。エアコン専用コンセントがなければ、せっかくエアコンを設置しても動かすことができないのです。
詳しくは電気工事の解説のところで解説していますので、そちらを参考にしてもらいたいのですが、とにかく、分電盤から一本、直接エアコンに繋がる電気配線をしなければなりません。
分電盤が玄関の上にあって、エアコンをつける部屋がマンションの廊下側であれば、割と距離は近いはずですので、そんなに大変ではありません。
しかし、分電盤が玄関にあるとか、洗面所にあり、さらにエアコンをつけたい部屋がベランダ側だとかなり距離がありますので、こういう場合は結構大変です。
大変というか、「露出配線」ということになります。
それでも、見た目さえ気にしなければ特に問題はないので、電気配線をして、コンセントを設置して、それからエアコンを設置したらそれで終わりです。
専用回路増設の電気工事は最低料金で15000円程度、コンクリート穴あけと合わせて3万円前後だと思っていればいいと思います。
コンクリート穴あけを回避する方法
最後に、配管穴がない環境にエアコンを設置する方法の3つ目ですが、普通のルームエアコンを設置したいんだけど、「コンクリートに穴を開けるのは大変だ」ということであれば、コンクリート穴あけを回避する方法として、「窓パネルを設置する方法」があります。
『窓パネル解説』
詳しくはこちらの記事を読んでいただければと思いますが、窓パネルというものを使い、窓の隙間からエアコン配管を通すことができますので、そちらも選択肢の一つとして是非検討してみてください。
しかし、普通のルームエアコンを設置しますので、エアコン専用回路は必須になります。電気工事だけはやらないといけませんのでご注意ください。
まとめ
少し長くなったので最後にまとめます。
エアコンの配管穴が開いていない部屋にエアコンを設置する方法は3つ、
- 窓用エアコンを設置する、
- コンクリートに穴を開けて電気工事をする
- コンクリートに穴を開けずに窓パネルをつけて電気工事をする
この3つです。
窓用エアコンの設置には「窓がある」という前提が必要ですが、エアコン専用回路と穴あけの必要がありません。
窓用エアコンは運転電流値が低いので、エアコン専用コンセントは必要なく、そこらへんの足元のコンセントを使用できます。
コンクリートに穴を開ける方法は、まず穴を開けるまでが大変なのと、電気工事も同時に必要になってきます。
窓パネルであれば、窓があるという前提は必要ですが、窓さえあれば、コンクリートに穴を開けずに済みます。
しかし、通常のルームエアコンを設置するので、運転電流値の関係からエアコン専用コンセントを増設する電気工事が必要になります。
以上、ルームエアコンのコンクリート穴あけの解説でした。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
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