マルチエアコンのメリット・デメリットと「1台だけ交換」についてプロが解説

どうもこんにちは。
Aircon Media空調技術ディレクターの小林です。

みなさま「マルチエアコン」というエアコンはご存知でしょうか。

マルチエアコンというのは、1台の室外機に5台程度までの複数台の室内機を接続できる空調システムのことを指します。主に業務用で採用されるシステムですが、家庭用も存在し「家庭用マルチエアコン」などと区別して呼びます。

マルチエアコンとは

日本で使用されている家庭用エアコンは、そのほとんどが室内機と室外機が1対1接続の「ペア」タイプであり、マルチタイプはあまり馴染みがないという方が多いでしょう。実はシンガポールなどのマンションではマルチタイプが好まれ、海外では割とメジャーなエアコンなのです。

家庭用マルチエアコンはその特性上、ペアタイプに比べシステムが大掛かりになるため修理や入れ替えの時にお悩みが発生することも少なくありません。しかし適切な空調システムを構築しておくことでそのリスクを低減したり、快適性や経済性で優れた効果を生み出すことが可能な優れたシステムです。マルチエアコンにご興味のある方に対してどこよりも有益な情報をたくさん掲載しますので、最後までゆっくりお読みになって理解を深める一助としてください。

マルチエアコンの歴史

マルチエアコンは近年新しく生まれたシステムではありません。じつは家庭用エアコン黎明期からマルチ空調の発想があったのです。
家庭用エアコンが日本に登場したのは遡ること70年前、1950年代のことです。1951年に(株)日立製作所が初めて試作品を完成し、翌52年からウインドタイプのクーラー*の発売を開始したのがきっかけに、国内の家庭用エアコン生産の歴史が始まりました。1958年には大阪金属工業(株)(現在のダイキン工業)が米国ワールプール社と技術提携し、同じくウインドタイプのクーラー第1号機を発売しました。当然この頃これらは贅沢品でありました。
 
*クーラー: 冷房専用機を冷暖房機のエアコンと区別しクーラーと呼びます。
家庭用クーラーの登場
 
そのわずか15年後のことです。徐々にエアコンが普及し、多室空調化の流れとインテリア性、エクステリア性需要を背景として「ハウジングエアコン」が登場しました。ハウジングエアコンとは、住宅設計段階で考慮するエアコンのことで、天井や壁に埋め込む隠蔽タイプのエアコンと、今回お話しするマルチエアコンのことです。
 
マルチエアコンが本格的に増加し始めたのは1988年頃。その後現在まで、2〜4室接続がマルチエアコンの主流タイプとなっています。

マルチエアコンは時代背景を反映させてきた

そもそもマルチエアコンは、本来ペアで使用するような大きさの室外機に複数台の室内機を接続するシステムです。無理があるシステムだと思いませんか? なぜそのような空調が進化できるのでしょうか。
 
それは、まさに1973年の第一次オイルショックが関係しています。オイルショック以降は省資源、省エネ化に対応したエアコンの要求が必然的に高まりました。まず省資源として、エアコンの小型化は単なる省スペースではなく、イコール省エネとして消費者に受け入れられたのです(現在では違和感のある認識ではあります)。
そこでエアコンの主要部品の一つである熱交換器の性能改善が不可欠な要素であり、ここから急速に熱交換器の研究開発が行われました。その結果伝熱性能が大幅に改善し、室外機の小型化、ひいてはマルチエアコンの性能向上につながったのです。
 
本格的に普及してから10年後の1998年頃には、どのようなマルチエアコンが普及していたか見てみましょう。
 
1998年5月 住宅設備用エアコンカタログ抜粋
出典:1998/05 ダイキン住宅設備用カタログ(CR9801B-)
 
この時代には戸建て住宅のマルチエアコン採用の流れが加速したことで、縦に連結して設置するタイプのマルチエアコンが登場しています。これにより従来よりも多くの数の室内機を1台の室外機に接続できるようになりました。
 
さらに10年後には、業務用の室外機をベースにした「ワイドセレクトマルチ」が発売され、最大8台の室内機を接続できるようになりました。この製品は一般家庭だけでなく個室の多い町のクリニックなどで業務用よりも手軽なマルチエアコンとして採用され、現在でも広く使われています。このモデルは麻布十番のタワーマンションなどでも採用事例があります。
2008年9月 住宅設備用エアコンカタログ抜粋
出典:2008/09 ダイキン住宅設備用カタログ(CR07737G-)
 
さらに10年後の現在では、オゾン層を破壊せず従来よりも地球温暖化への寄与が少ない新しい冷媒を採用したマルチエアコンが一般的となり、床暖房も接続できるようになりました。
コロナ禍以前のワイドリビング化の流れで、接続できる部屋数こそ減ったものの(5室)、室外機の最大容量は以前よりも大きくなり、より広い空間に対応できるようになりました。
2024年3月 住宅設備用エアコンカタログ抜粋
出典:2024/03 ダイキン住宅設備用カタログ(CR23065A)
 
このようにマルチエアコンは技術開発も普及もその時代に密接に関わっており、人々の営みのなかで、衣食住の「衣」や「住」といった重要な部分を空調という面で支えてきたのです。
 

個室ニーズの再来

コロナ禍で私たちの生活様式は一変しました。住宅においてはワイドリビング化の流れから、リビングの一角にオンラインミーティング用の個室を設けるなどの変化が生まれたのはご存知の通りです。個室が増えると庭が室外機まみれになってしまったり、分電盤の容量を圧迫してしまったりします。このような新時代の解決策の一つとなるのが、やはりマルチエアコンです。
マルチエアコンであれば室外機の設置スペースを抑えられる上に、ペアエアコンと比べ分電盤の容量にゆとりが生まれます。
 
ではここからはマルチエアコンの種類、メーカーについて見ていきましょう。
 

マルチエアコンの種類とメーカー

マルチエアコンは「パック商品」とそうでない商品に大別できます。
  ダイキン 三菱電機 パナソニック 日立 三菱重工
パック商品 あり なし なし なし なし
接続台数 2〜5台 1〜5台 2〜4台 2〜4台 1〜5台
1台のみ接続 不可 不可 不可
床暖房接続 不可 不可 不可 不可

マルチパックとは

マルチパックはダイキンから販売されているパック商品で、あらかじめ室内機と室外機の構成が決まっている商品です。通常マルチエアコンは、部屋の大きさや室内機の種類、お客様の要望などから室内機を決定し、それに応じた容量の室外機をプロが選定します。
一方でマルチパックの場合はすでにセットとして販売されていますから、特に入れ替えの場合に機種選定のコストや手間が省けます。
マルチパックカタログ抜粋
出典:2024/03 ダイキン住宅設備用カタログ(CR23065A)
 
パック商品でない通常のマルチエアコンは室外機や室外機がすべて単品で、それらを適切に組み合わせて一つのシステムとするので、専門店や工務店の設備設計を通じて購入することが基本です。マルチパックの利点はプロに相談しなくても「室外機を買い忘れた」などのやらかしをするリスクが少ないことと、室外機がやや小型なことにあります。金額的には通常のマルチエアコンを選んだ場合とほとんど変わりません。室外機が小型な理由は室外機内部に冷媒貯蔵のためのタンクを積んでいないからです。セット商品であるため、接続する室内機は「壁掛形」と限定されていますし、容量もすでに決定されていますから、システム全体に必要な冷媒量がわかりきっています。ですからタンクに余剰分を貯めておく必要がなく、小型化につながっています。容量はいわゆる6畳用と呼ばれる2.2kWの室内機×2台のプランか、一台は2.2kW、もう一台はいわゆる10畳用と呼ばれる2.8kWのプランのどちらかから選べます。室内機の種類は壁掛形の1種類です。

接続台数とは

接続台数とは「その室外機に最大で接続できる台数」を指します。ですから接続台数5台の室外機に、2台しか接続しないことは可能です。
三菱電機およびそのOEM(相手先ブランドでも販売すること)である三菱重工製のマルチエアコンは、現行型では1台接続が可能です。もはや“マルチエアコン”ではありませんが、このようなイレギュラーな使い方は予算上の都合で選択することもあります。
 

マルチエアコンのメリット

ここではマルチエアコンの知られざるメリットを5つに分けて紹介します。

1. エクステリアがスッキリする

マルチシステム
出典:2024/03 ダイキン住宅設備用カタログ(CR23065A)
 
もっとも実感しやすいメリットはこれでしょう。通常のペアタイプなら室内機の数だけ室外機が必要になりますが、マルチエアコンなら室外機をまとめられます。

2. エクステリアを有益に使える

これは見た目ではなく実益面での理由です。東京都内においてはコロナ禍で経済活動が停滞傾向にあった2021年を除き、公示地価変動率はいずれもプラスで推移しています。地価が高騰するなか、室外機の設置に消費してしまうスペースは無視できない大きさです。
東大弥生キャンパスの室外機
一般的な室外機は横幅が900mm程度あるので、簡単のため1mとしましょう。奥行きは300mm程度です。背面および左側面から空気を吸い込んで正面に吹き出しますので、背面に200mm、正面に500mmの隔離空間は必要です。そのため室外機1台につき最低1平方メートルは必要です。これを下回る場合は、設置できても電気代が増加したり、追加費用を払ってオプションを購入して効率改善を図る必要がでてきます。
一方で、2023年1月1日時点での都内全域における住宅地の平均価格は45万2,100円/平方メートル、商業地の平均価格は261万3,500円/平方メートルです。
エアコンを設置するのにかかるコストはエアコン本体代や工賃だけだと思っていませんか? 見えない部分にこれだけのコストを支払って設置しているのです。
 
オフィスビルで屋上に室外機を設置したり地面に置く場合でもマルチエアコンを使用するのが当たり前なのはこれを考慮しているからであり、見た目だけの問題ではありません。

3. 暖房の立ち上がりが早く、暖房が暖かい

エアコン暖房の課題の一つは、立ち上がりが遅いことです。スイッチを入れてから10分くらい暖かい風が出ませんね。エアコン暖房は外気から熱を集めて暖房しますので、ある程度集めないと暖かい風にならないのです。金属が収縮する音がしたり、少しだけ風量が増したりして「今にも暖かい風が出そうな雰囲気」はするのですが、この10分は長く感じるものです。
 
一方でマルチエアコンの場合、他の部屋が運転していれば、スイッチを入れた後すぐに暖かい風が出ます。風向調整のフラップが定位置に移動するまでの数秒間で温風が出ることさえあります。室外機に能力にゆとりがあるため、温風の温度も高いのが特徴。特に2台以上運転中は負荷の高い部屋に制御を合わせるため、暖房中に肌寒い風が出ることはありません。
risora暖房イメージ
 
これはすでに室外機が起動しているからであり、一般的なペアタイプのエアコンなら実現不可能なことです。楽器の練習などで「ちょっとだけ隣の部屋を使いたい」というときにすぐに暖まるのは助かりますよね。「部屋を使い終わる頃にようやく暖まる」などはよく聞く話です。設備計画次第ですが、寝室とLDKを組んでおけば、冬の朝すぐにリビングで暖まることもできます。この利点は冷房時も同様です。

4. 分電盤の容量にゆとりが生まれる

通常のペアタイプのエアコンの場合、主に個室に使用する容量(〜3.6kW)では100V電源を使用します。エアコンは内線規定で専用回路の敷設が義務付けられています。運転開始直後はそれぞれ15A程度を消費しますし、電子レンジや電気ポットなども同じ100V電源です。エアコンが複数台あれば契約電流値を超えてしまい、いわゆる「ブレーカー落ち」になるリスクがあります。

マルチエアコンなら室内機ごとではなく「室外機ごと」に200V電源を使用しますので、一般的なご家庭であればブレーカー落ちのリスクを低減できます。マルチエアコンだけでなくペアタイプのエアコンをうまく組み合わせ、100Vと200Vに振り分けることで分電盤の容量にゆとりが生まれ、エコキュートやEV充電設備の導入も検討できるでしょう。

5. 室内機に電源コードがなくスッキリ

通常のペアタイプのエアコンの場合、多くは室内機の横のコンセントから電気を供給します。マルチエアコンは室外機に電源ケーブルを直接差し込んであり、そこから各室内機に電気を送っていますので室内機に電源コードがありません

risoraマルチ仕様

画像: risoraマルチ仕様機(本体色ダークグレー+パネル色ウォルナットブラウン)

ダイキンrisora(SXシリーズ)のようにデザインにこだわった機種の場合はなおさら電源コードがないとスッキリ見えます。

このようにマルチエアコンならこだわりの室内空間をより一層際立てることができます。

マルチエアコンのデメリット

では気になるデメリットを3つに分けて紹介します。

1. 更新の際、一度に多額の出費になる

通常のペアタイプのエアコンの場合「毎年ひと部屋ずつ入れ替える」など、一度に多額の出費とならないように更新計画を立てやすいのですが、マルチエアコンの場合はシステム全体を一度に更新するのが原則。新設の際は費用面で大差なくても更新時の見積りに驚かれ、二の足を踏まれるケースが少なくありません。

→対策

  • 新設時にできる対策: 2〜3台など小規模なマルチ構成に分けておく
  • 更新時にできる対策: (後述)

これを避けるためには設備の特性を理解し、可能な限り修繕費用を積み立てておく必要があります。

2. 室外機が重故障するとシステム全体がダウンする

室外機を1台にまとめられる反面、コンプレッサーや各種電子弁など室外機内部にある主要部品が故障するとシステム全体で異常が発報され運転できなくなります。すぐに修理できれば1週間以内に復旧できることがほとんどですが、真夏ならかなりの痛手です。

→対策

  • 新設時にできる対策: 2〜3台など小規模なマルチ構成に分けておく / 寝室はペアタイプのエアコンを採用する

3. 超省エネ機種は選べない

これには理由が二つあります。

まず、各メーカーともにマルチエアコンの製品改良は数年に一度であるからです。出荷台数がペアタイプのエアコンに比べ圧倒的に少ないからでありますが、これはペア対マルチという考え方は正確ではなく、マルチタイプが含まれる「ハウジングエアコン」自体の特徴です。ハウジングエアコンは埋込形などを含みます。埋込形は製品サイズや基本仕様が10年前と変わっていては更新できませんから、変わっていないことも大切な要素なのです。

埋込形エアコンの詳しい説明はコチラ

次に、マルチエアコンの室外機はある程度汎用的にできているからです。接続する室内機が壁掛形かもしれないし、天井埋込形かもしれないし、床置形かもしれません。そのようなマルチの特性上、室外機はどのような室内機が接続されても効率よく運転できるように汎用的に作られています。最新の超省エネフラッグシップエアコンは、室内機と室外機で独特の最新機構を有し、それらが綿密にコミュニケーションを取り合って制御することでその省エネ性能を実現しています。ですから、マルチエアコンの室外機はそれに比べれば大雑把であり、超省エネな室内機を接続することはできません(たとえできたとしても、期待するような超省エネな性能は発揮できません)。

マルチエアコン自体が省エネ性に劣ると書かれているサイトも散見されるようですが、それは言い切れないでしょう。少なくとも私は実名で記事を書いている以上、そのような断言はできません。限られた評価手法で評価された、いわばカタログ数値の燃費のようなものでは最新機種に劣る場合がありますが、使い方によってはペアタイプよりも優れた省エネ性能を発揮できます(たとえばマルチエアコンなら室外機が大きいため、暖房時の除霜回数が少ないことなど。除霜影響は現在のカタログ数値には反映されていません)。

「1台だけ交換」や買い増しは可能か?

可能な場合があります。ただし1台目および室外機お買い上げ日からの経過年数によっては「1台だけ交換」や買い増しが不可能なことがあります。特にシステム全体で年数が経過している場合は、論理的には説明しにくい現象ですが、わずかなバランスが崩れ故障につながることもありますので総入れ替えをおすすめします

ダイキンマルチ取扱説明書抜粋

出典: ダイキンマルチエアコン室内機取扱説明書

予算が限られシステム全体で総入れ替えができない場合にとられる手法の一つに、ペアタイプのエアコンに変更する(マルチを解消する)というものがあります。これは部屋にエアコン用コンセントがすでに用意されている場合で追加の電気工事が不要な場合にとられることがあります。マルチで組んでいた他の部屋を今後使用しないことが明らかな場合においては得策でしょうが、そうでない場合はその場凌ぎにすぎず、避けた方がよいでしょう。

一方で、もう一つの手法があります。これはご存知の業者様がほとんどいらっしゃらないこともあり滅多に見かけない手法ですが、室外機と1台の室内機だけ更新しておき、残りの室内機の更新は半年後や翌年に繰り越すというものです。じつは三菱電機製のマルチエアコンは、現行型に限り室内機1台のみでの接続が可能です。この際、1台目更新から可及的速やかに(モデルチェンジをしないうちに)他の部屋の室内機も更新することが重要ですが、大規模なモデルチェンジを挟んでしまったり数年放置してしまったりすると、他の部屋が更新できなくなるリスクがあります。

いずれの場合においても、マルチエアコンは美観性や快適性を得られる反面「設備」としての一面が強く、プロに相談しながら購入を進める必要があります。故障する前にお早めにご相談ください。

また新築をご検討のお客様は、ハウジング・マルチエアコンを早期にプロと検討することで、ワンランク上の理想的な空調を実現できます。

ハウジングエアコンの詳しい説明はコチラ

マルチエアコンFAQ

マルチエアコンに関するFAQをいくつか紹介します。特にメリット・デメリットのなかに含めることのできなかった内容もFAQ方式で掲載します。新たなご質問はこの記事のコメントでお寄せください

Q1. 同時運転すると冷暖房のパワーが下がるのは本当ですか。

A1. 場合によっては本当ですが、ほぼ心配不要ですマルチエアコンを採用する際にプロが行うシステム設計では、業務用マルチエアコン(いわゆるビル用マルチ)と同じ考え方を用います。つまり、すべての部屋のエアコンが負荷100%で運転することなどあり得ない、という考え方です。そのためカタログ的に許容された範囲まで室内機の合計容量を室外機容量よりもオーバーさせて組み合わせます。業務用で厨房や体育館などに設置する場合はともかく、一般家庭ですべての部屋が負荷100%近くで運転するというのは現実的ではありませんね。ですから室外機が最大能力で運転することなどほぼありませんので、心配不要です。

Q2. 冷暖同時運転はできますか。

A2. できません。家庭用だけでなくビル用マルチエアコンでも基本的にはできません。余談ですがビル用では冷暖同時機も存在し、ホテルで客室ごとに自由に冷暖房が選べるのはこれを採用しているからです。

Q3. システム構築で留意すべきポイントはありますか。

A3. たくさんあります。たとえば「運転時間」「フロア」「リスク対策」が挙げられます。LDKと寝室を同じ室外機の系統に組み込んでしまうと室外機が24時間休めない場合があり、劣化が早まる可能性があります。さらに1階と最上階では室温が異なりますので、春や秋などの中間期では冷房需要と暖房需要が重なり、同時には運転できません。先ほどお話ししたようにリスク対策も重要で、寝室はペアタイプにしておくなど故障時の想定も必要です。詳しくはプロにご相談ください。

Q4. 現在ペアタイプのエアコンを使用していますが、今後マルチに変更できますか。

A4. 可能な場合もありますが、電気工事が必要な場合があります。マルチエアコンは室外機に直接電源を供給しますので、お使いのエアコンが室内電源の場合は室外機まで電線を引く工事が必要です。また室外機と室内機の配管長が許容値を超える場合はシステム構築不可能です。

Q5. 5台を超えて接続できる家庭用マルチエアコンはありますか。

A5. 家庭用ではありませんが、家庭用電源で動く業務用マルチエアコンがあります。開業医などクリニック兼住宅の場合に、6台以上のマルチエアコンをお使いの場合があります。現在家庭用マルチエアコンの上限は5台ですが、三菱電機業務用マルチエアコン「Fitマルチ」であればより大規模なシステムが構築できます。5馬力(14.0kW)までであれば家庭用の単相200V仕様があるので、動力電源の契約が不要です。

Q6. マルチエアコンでよく使われるメーカーはどこですか。

A6. ダイキン、ついで三菱電機です。どちらも都心の高級マンションで数百、数千台単位で長年採用されています。

Q7. 海岸近くに住んでいますが、マルチエアコンに耐塩害仕様はありますか。

A7. あります。故障すると大掛かりな出費になるからこそ、ご購入時に適切な仕様を選ぶことでそのリスクを手当てなさることをお勧めします。

Q8. エクステリアにこだわるため室外機を塗装したいのですが、可能ですか。

A8. 可能ですので、ご自身では塗装しないでください。メーカー出荷後に塗装したものは改造扱いとなり、保証の対象外になったり、故障時に修理を断られたりします。注文時に特注の形でメーカーに塗装を依頼してください。塩害対策の防錆塗装も同様です。

Q9. マルチエアコンは運転音が大きいですか。

A9. 通常のペアタイプとほとんど変わりません。ただし、コンパクトなボディーでしっかりとした熱交換を行うためファンモーターの出力は業務用機並みです。送風音は若干大きい場合があります。室外機の据付場所はプロとよく相談のうえ決定してください。

Q10. マルチエアコンで室外機だけ交換はできますか。

A10. できる場合がありますが、一般的ではありません。室外機が早期に重大な故障を起こしたり盗難に遭った場合に室外機だけ交換を望まれる場合がありますが、設置年月が経過するほどシステムの通信方式の変更が理由で実現不可能なことがあります。

Q11. マルチエアコンの工事費は高いですか。

A11. 一般的なペアタイプとほとんど変わりません。工事費は現場ごとに大きく変化しますので一概には言えませんが、ペアタイプとほとんど変わりません。一度にすべてのエアコンを更新するため実際よりも高く感じられることがあります。

Q12. マルチエアコンを省エネに使う方法があれば教えてください。

A12. 部屋を移動する際は停止前に2台目を運転してください。つまりは系統内すべてのエアコンがOFFになる室外機の完全停止を避けることがポイントです。キッチンで料理した後ダイニングに移るときは、キッチンのエアコンを止める前にダイニングのエアコンをつけてください。そうすることで効率よく安定的に室外機のパワーを他の室内機に移すことができます。マルチに限らず、ペアタイプのエアコンでもいったん室外機を停止させると5分程度起動できず、再起動には時間がかかります。これはコンプレッサーの故障を防ぐための安全制御です。

Aircon Mediaはハウジングマルチエアコンの知見が豊富。どのようなご希望でも、難工事でも真摯に向き合い解決策を一緒にお探しいたします。

空調は今では生活に欠かせない必需品。多様な暮らし方に合わせて、多様な空調をご提案できます。

ハウジング・マルチエアコンの工事はAircon Mediaにお任せください。

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